パピヨンの部屋 - Welcome to Papillon's room
影子の楽しい香水おばけ
 
 
すみくらまりこ



 
黒猫影子はきょうも元気、
何か面白いことはないかな、
両目はきらきらと光らせている。
 
優しい巳子もながながと
からだを伸ばしてひなたぼっこ。
「いえのなかにも探せばあるんじゃない」
 
ふくろう博士は
昼はぐっすり眠っているんだ。
起こしてはだめなんだ。
 
影子のさいきんの楽しいことは
「びん(瓶)」さがし。
きれいなかたちがお気に入り。
薬のびん、お酒のびん、油のびん、
ガラスのびんがお気に入り。
 
影子のおばあさんは香水びんを
いっぱいもっている。
マクラのそばにびんを並べてときどき磨いている。
それが不思議でたまらない。
 
 
 
 
 
ある日、よい香りがする瓶を見つけて
影子は夢中になってしまった、
身をすりすり、ほおをつけて、
耳のうえをこすりつける。
 
ふくろう博士は目を覚まし、
「影子、それは香水じゃぞ」
と教えてくれた。
 
「服を着て、さいごにそれを
つけるのがお洒落というものじゃ。
わしらは、そんなもの要らんがな」
 
巳子が言った。
「お花の精が住んでいるのよ、
開けちゃだめよ、踏んづけてもだめよ、
中身がこぼれたら香水おばけがでてくるわよ」
 
影子は身を震わせて、
「怖ーい」とつぶやいた。
だったら、遠回りしていこうっと。
 
でも、たくさん待ち伏せしているみたい。
次から次からおばけびんがいる。
「どんなおばけか見たいかい?」
と言っているようだ。
 
あれっ?びんのふたに
ロウが垂らしてある。
「これはおばけの跡じゃ」
 
 
 
 
 
 
とふくろう博士。
「だれかが悪さしたじゃろう」
 
「わたしじゃない」
と影子。
 
「じゃ、だれだ」
「知らないわ」
鶉の親子もアルパカさんも知らない。
 
「だったら、おばけじゃないかも
しれないよ」と影子が叫んだ。
「だったらたんけん(探検)だ!」
 
ひとつ、ひとつ
ロウの跡があるかないかを確かめる。
 
 
 
 
 
 
 
 
これはだいじょうぶよね。
「第八日目」とかいてあるわ。
一週間より多いっておかしいよ。
これもおばけのしわざかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
これって、鉄の塊みたい。
ロボットかなあ。
 
 
 
 
 
これって
かたつむりさんが
かたまったんじゃない?
 
 
 
 
 
 
ねえ、これは?
と子バトさん。
「毒」って書いてあるぞ、
とフクロウ博士。
 
「きゃーっ」
 
 
 
 
 
 
「ねえ、これは?」
「地球から海を抜き取ったのかも」
 
 
 

 
 
 
「だったら、これは?」
「小川から水を抜き取ったのかも」
 
 
 
 
 
 
 
「おばけを探してごらん」
「きっといるはずよ」とおばあさん。
 
 
やった、「おばけをつかまえたよ、見てよ、見てよ、みんな」
と影子はよろこんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なんてきれいなおばけなの」
みなは黙って見るだけだった・・・
「そっとしておいてあげましょう」
巳子はつぶやいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おわり
 
 
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